10月31日(月) |
ファンとの距離 ユーミンのラジオ番組で紹介されていた彼女の生い立ちを小説にした書籍を買いました。 山内マリコ著「すべてのことはメッセージ 小説ユーミン」です。 購入理由は日本のロック史の一端を知ることができそうだったから。 読み始めてみると思っていたよりもかしこまった文章でした。 ラジオ番組で著者を初めて知り話し方を聞いて、くだけた文体だろう、と勝手に予想していたためですが。 ここから私得意の憶測です。 ファンのあこがれにこたえる高尚さが欠けてはならない、という使命感が著者の選定時に大きく影響したのでしょう。 獰猛な取材力と評されていた著者の力量を認めざるを得ない情報量の多さです。 ファンの下から目線で羨望されつつも、身銭を切ってもらうのですから、コスパは悪くないと実感させる完成度を目指したのだと感じます。 作品を製作する際には毎回行なっていることなのでしょうけれども 特に彼女のファンというわけではない私は、絶妙なファンとの距離感調整に感心させられました。 さすが商家の出です。 商魂万歳。 自らの作品が詠み人知らずで残っていくことが彼女の願いだと聞いたことがあります。 CDなどのパッケージ販売より、インターネットでの配信販売の方が望みに近づく進路だという気がします。 残念ながら利幅は相当薄いようですが。 |
10月26日(水) |
エレキギターの来歴 「フェンダーvsギブソン」という邦題の本をやっと読み終えました。 原題は「THE BIRTH OF LOUD」で著者はイアン・S・ポートです。 両方の書名を見比べて内容の想像ができるでしょうか。少々難しいのではと思われます。 エレキギターが誕生した時、アコースティックギターにピックアップを付けたものでした。 アンプにつないで音量を上げていくとハウリングを起こしてしまうという宿命を背負った代物だったのです。 共鳴空間をもたないソリッドボディーにすることで問題は解決しました。 と一文で書けてしまいますが、そこに至るまでの道のりが険しかったことを初めて私は認識しました。 なぜなら私がエレキギターを初めて知った時にはソリッドボディーは当たり前だったからです。 歴史や伝統を重んじる楽器業界において、ソリッドボディーを採用することは非常識、いやクレイジーとさえ思われたのです。 その道なき道を切り開いていった多くの先駆者を代表し、名前をのこして象徴する双頭がレオ・フェンダーとレス・ポールです。 二人を軸にエレキギターが進化していく過程が概説されます。ポピュラー音楽においてどのように演奏されたか、という音楽ファンが興味をそそられる要所にも焦点を当てながら。 読み進めているうちに、アメリカの楽器業界ポピュラー音楽界の歴史的変遷も広く浅く理解することができました。 フィナーレを飾るのはウッドストック・フェスティバルにおけるジミ・ヘンドリックスのアメリカ国歌演奏です。 原題にもっともふさわしい歴史的名演奏であることは多くの人が認めるところでしょう。 私も聴き直し見直ししたくなりました。 エレキギターについて知ることが一般教養とみなしてもらえるのであれば、ぜひとも図書館に備えるべき良書だと感じました。 |