2002年9月分

音楽雑記帳

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9月27日(金) 待望久しい手放し絶賛盤

今日になってやっとpeter gabrielの久々の新作「UP」を落ち着いて聴く時間がもてました。

純然たるソロ作品としては10年ぶりのこのアルバム、神々しい高みに到達しています。

コンピュータを主体とした最先端の技術を駆使して録音、編集することによって製作されている数々の作品の中にあって群を抜く出来栄えだと確信します。

だからといって無機的な音になっているわけではなく、しっかりと血肉化されています。

久しぶりに深く暗い彼の世界に接して金縛り状態になって聴き入ってしまいました。

これまで時間をかけて幅広い人脈を構築してきたことが結実したという印象も受けました。

才能だけでなく人徳も伴わないと作り得ない世界とでも言いましょうか。

10年待った甲斐がありました。

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9月22日(日) 結果として似ている

スタジオ録音盤としては4日に取り上げた作品の一つ前のアルバムであるjoe zawinulの「MY PEOPLE」も取り寄せて手に入れました。

この作品はジャズ部門ではなくワールド・ミュージック部門でグラミー賞を受賞したそうです。
確かにこの音をジャズとして聴く人はまずいないと思います。

世界中から種々の音楽的要素を取り込むだけではなく、世界のあちこちからゲスト・ミュージシャンが参加しています。
サンプリング・データの収集ではなく、生身の人間が集合することによって製作された音楽なのです。

実はたまたま同じ日にpeter gabrielの久々の新作「UP」も買ったのですが、こちらを先に聴いたのです。

聴いているうちにこの両者の作りだす音楽が意外にもけっこう似ていることに気が付きました。

両者ともいわゆるワールド・ミュージックの要素を大々的に導入するという姿勢はまったく同じです。

音楽の三要素を考えた時、世界に旋律や和声の無い音楽は存在します。しかし音楽が時間に依存する芸術である以上リズム(この言葉だけ定着した日本語訳がないのが悔しい!)の無い音楽は存在し得ません。

そのような音楽の本質からくるのか両者ともリズムを非常に重視していることが似て聴こえる理由かもしれません。

世界中から面白そうなものは全部分捕ってくるという大英帝国的発想と、ロマ(ジプシー)のように各地を転々としながら当地の文化を身に染み込ませていくという手法とが、結果として似たようなものを生んだということでしょうか!?

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9月12日(木) 脳内快楽ホルモン出っ放しで大丈夫か

私はバザール会場での買物を終えて通常の売場へ行きました。するとそこでは見ていて気持ちの良くなるMTV作品がエンドレスで再生されていたのです。

普段まったくMTVを見ない私はしばし釘付け状態に。

クレジット・タイトルからunderworldの楽曲だと判明するやいなや条件反射の如くに彼らのコーナーへと足を運んだ私は傍目にはかなり危ないかも。

どうやら彼らの最新作「A Hundred Days Off」が当月の4日に発売になったようで試聴もできるようになっていました。

例によって楽曲の冒頭を順送りに聴きながら悪くないと感じた私は購入即決。

が、さっきまで見ていたMTVの楽曲で先行シングル盤でもある「Two Months Off」はあるのですが肝心のアルバムが見当たりません。

店員さんにきいたら奥からもってきてくれました。けっこう売れているということでしょうか。

強烈を通り越して「踊れ!」という強制力すらあるのではないかと思わせるダンス・ミュージックです。

当世の若者達はクラブなるところでこの種の音を聴きながら延々と踊り続けることに喜びを見出しているのか!?(オヤジの嘆き調)

いや実際気持ち良いだろうと思いますよ。

精神は無心に近い状態になるでしょうし。

おそらく脳内では快楽ホルモン全開でしょうからたとえ肉体の循環器系呼吸器系に相当な負担がかかっていても苦痛を感じることはないのでは。

それにしても非日常に求める快楽の度合がここまで激しくなっているということは、もはや我国がボケていられるほど平和な状態ではないということの証しかもしれません。

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9月8日(日) 興奮のるつぼ(死語?)

先月の隣県のバザールに続いて今月は地元のCD屋さんで開催された「掘り出し市」で何点かCDを仕入れてきました。

その中から今回はelton johnの初期のライブ盤「11-17-70」です。

実はこの作品は中学生だった時に池袋のヤマハで輸入盤のアナログ盤を買ってしばし愛聴していた、私にとってはピアノ教則盤とも言えるものです。

後年山にこもるにあたってアナログ盤をまとめて処分した際に手放してしまっていました。

今思い出すと不思議なのですが、アナログ盤時代にスーパースターかつヒットメーカーとして一世風靡した彼のアルバムで私がもっていたのはこれ1枚だけでした。

ちょうどその頃から私の好みのギターバンドが台頭してきてそれらのアルバムを欲しかったために限られた小遣いでは彼のアルバムまで手が回らなかったことと、彼のヒット曲はラジオ放送で十分に楽しめたことがその理由ではないかと今にして思います。

とにかく、おそらく10年以上は聴いていなかったと思います。

しかしその間も散歩の時などに、想像するだけで頭の中では聞こえてくる(ちょっと危ないか!?)、くらいかつては聴き込んでいました。

本当に久々に聴いたところ表題ではありませんが脳内爆発状態で興奮してしまいました。

デビュー当時に吟遊詩人というイメージで売り込もうとされていた彼の隠されていたロックンローラーとしての本性があらわになってしまっているので、多分彼の経歴の中でも特異な位置付けになる作品なのでしょう。

そのためか一般的に評価は高くないようです。

が、しかし、そんなことにはおかまいなしに私は激賞させていただきます。

まずこの作品では、彼とそのサポートメンバーという上下関係はなく完全にピアノ・トリオという形態のバンドでの演奏になっています。

ベース奏者のdee murrayは「間」を生かして8ビートのノリを際立たすところに、私の大好きなフリーのアンディー・フレーザーとの共通点をあらためて感じさせてくれました。

後に彼名義でシングル・ヒットも放ったドラム奏者のnigel olssonはE,L&Pのカール・パーマーやクイーンのロジャー・テイラー同様バタバタ系で、かつタムタム・ドラムの革が短命であることを思わせるくらいオカズが多いです。

そして二人ともバック・コーラスで(ちょっと苦しそうに)ハモれるのがまた良いんです。

何より自由にテンポを変えたり演奏が奇想天外に展開していくことから3者の息が合っていることが伝わってきます。

ロックという音楽は本来この様な「自由さ」がその魅力だったことを最近はすっかり忘れていました。

さらに、あの頃は彼らも若かったしロックも若かった!

「70年代のロック」を語るなら、必携とは言わないまでも(自分も手放してた時期があったので言えましぇん)必聴のアルバムだとあえて断言します。

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9月4日(水) 即興に乗って踊れるかどうか

事前に情報を知らなかったので先日CD屋さんでjoe zawinulの4年ぶりの新作「faces & places」をみつけた時は少々驚きました。

同日に立ち読みした音楽雑誌にちょうどそのアルバムに参加しているカメルーン出身の新進ベース奏者Etienne Mbappeのインタビューが載っていました。

拾い読みすると絹の手袋をしてエレキベースを弾くというちょっと変わったところがあり興味津々でCDを買わずにはいられませんでした。

音楽性は例によってweather reportの頃から大きな変化はないものの70歳になっても表現力やアンサンブルの進化が続いているのには脱帽です。

相変わらず自身の即興演奏を元に作曲しているそうで、しかも以前と比べて旋律や和声進行など楽曲を特定する要素がさらに減っているためにライブでのバンドによる即興演奏のようにも聴こえます。(ライブ演奏の録音も1曲収録)
しかも「ムラ」や「スキ」がまったくないのに決して緊張を強いることはありません。

彼自身の電子楽器によるニュアンス表現にもさらに磨きがかかっています。

ただしリズムの「ノリ」そのものを楽しむという聴き方のできない人にとっては退屈で冗長な音楽かもしれません。

ジャコ風味がお好みなら前述のベーシストの演奏も気に入るのではと思いました。

www.esc-records.de(数曲試聴できます)

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