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移住と郷土愛

No.249(2023.03.13)


郷土愛があれば移住はしない、と言えるのは今現在豊かで平和に生活しているからです。
かつては、生まれ故郷での生活が貧困のために継続困難となった際に、新天地として外国への移住を推進する政策がありました。

本稿のきっかけは、ネットで福井県池田町の「池田暮らしの七か条」を知ったからです。

過疎化が進む農村での田舎暮らしを8年間体験した私からみれば、よくできた田舎暮らし成功マニュアルです。
が、批判も多く寄せられたそうです。

これは嫌われてしまうかも、と思った条項を抜粋引用します。

第4条 今までの自己価値観を押し付けないこと。また都会暮らしを地域に押し付けないよう心掛けてください。

第5条 プライバシーが無いと感じるお節介があること、また多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください。

いかがですか。興味のある方は検索すれば全条項を読むことができますよ。

これこそ、35年前に手さぐりで田舎暮らしを始めた私が当時知りたかった生活法指針です。
この条項を理解し受容できないまま移住したら長くは暮らせないと考えます、というより断定したいくらいです。

移住者を、移住元側からみれば開拓者に近いのかもしれませんが、移住先側からみれば異端者とみえてしまうのです。

ごうってはごうしたが

ということわざがあるものの

うはやすおこなうはかた

というのが現実です。

「池田暮らしの七か条」は、現状に則していて実効性の高い約束事を分かりやすくまとめてある優れものであり、過疎化が進むなか定住者を増やしたい地方自治体がお手本とすべきであるとさえ思います。

ところで、「田舎暮らし」と呼ばれていたのが「移住」と言い換えられるようになったのは、いつからで、なぜなのでしょうか。

「田舎」という言葉に対して否定的差別的イメージが一般化したのかもしれません。もともと「ふるさと」と同じような良い意味で使うことも多かったと思うのですが。

全国民一律都会化志向一辺倒、ですか。(苦笑)

放送作家などをしていた故人である景山民夫氏の言葉を思い出しました。
「田舎者とは自分が住んでいるところを愛せない人間のことだ。」

引き続き考えてみることとします。


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