飼い犬が死んでから5年半経ちました。 遠隔地に住んでいる高齢な母がいるので、現状では新たに犬を飼うことができません。 一人ぼっちでの散歩はなんだか物足りなく感じます。 そんな折、犬を飼っているご近所さんで散歩にいけない方がいました。 これ幸いとお願いして、喜び勇んで代わりに私が散歩に連れて行っていました。 残念なことに、その犬が二か月前に死んでしまいました。 犬好きなご近所さんは、散歩係(笑)を得たことで、もう一度犬を飼いたくなっています。 近隣に顔が広いその方は、犬を沢山飼っている家を聞きつけ、譲ってもらえると思い見に行ってきました。 ビーグル系の犬を10匹以上は飼っているのを目の当たりにしたそうです。 どれでも好きな犬を連れ帰っていい、と言われたとのこと。 もともと亡くなったおじいさんが狩りをしていたので、狩猟犬として飼っていた犬が増えてしまったらしいです。 で、私にも犬を選ぶ際に立ち会って欲しいと強く求められてしまいました。 先日一緒にそのお宅に行きました。 家は新興住宅地から少し山手に入った農村地帯にありました。 敷地入り口に土間の物置、または牛舎だったと思われる10坪弱の建物がありました。 そこには7匹の犬がつながれていました。 人なれしていないのでワンワン吠え続けます。 ちょうど飼い主である80歳のおばあちゃんもいました。 高齢にもかかわらず一人で犬の世話をしているのです。 上の家にもいるよ、と言われて見上げると10メートルくらいの小さな坂道を上った先に40坪くらいの平屋がありました。 私は一人で坂を上っていきました。 家の前に着くやいなや犬の大合唱です。 立派な作りの一軒家が完全に犬屋敷になっていました。 屋内のあちこちに数匹ずつつながれています。 縁の下や玄関、風呂場にもそれぞれ数匹ずつ。 ざっと数えてみると15匹以上はいました。 犬の家になっているわけですから当然もう人が住める状態ではありません。 家を持てない人間もいるのにある意味贅沢なことにも思えますが。 どの犬も子犬の時からつながれっ放しで社会性が身についていません。 なので人を見るとおびえて吠えますし、近づくと後ずさりします。 散歩で運動することもなく、ただフードを食べ水を飲み排泄するだけの生活を続けてきた犬たちです。 こうなるのも仕方がないことで、飼い主の飼い方に問題があるのです。 ただ、どの犬も世話が行き届いているのか身体が比較的きれいなので、虐待と客観的に断定するのは難しい気がしました。 せっかく来たのだから犬に触りたいと思ったので、30分くらい近くにいてなれさせようとしました。 一匹に狙いを定めてねばったものの、周りが犬だらけで互いに意識することもあったのでしょうか、目を合わすのも難しくついに触ることはできませんでした。 あきらめて再び最初の建物へ戻りました。 ご近所さんはおばあちゃんと話していました。 こちらにいる臆病そうで小さめな犬に触るべく、近くにかがんで持久戦に入りました。 様子を見ながら少しずつ少しずつ手を近づけ続け、ようやくその犬に触れて撫でることができました。 うれしがったり喜んだりする様子はまったく見られませんでしたけれども。 そうこうしているうちに、おばあちゃんの娘さんが様子を見に来ました。 話を聞いてみると、今のところ虐待として告発されてはいないようでした。 おばあちゃんも娘さんも犬の飼い方の基本を理解しているとは思えません。 最低限の処置としてメスの避妊手術の話を娘さんにしてみましたが、費用がかかるのでできない旨の返答がありました。 なんらかの努力をして自力で解決しようという意欲がないのでしょうね。 確かに、ここまできたらどうしようもない、という無力感をもってしまうでしょうし。 ご近所さんが今回は下見のつもりでいたので、そのまま帰ることにしました。 娘さんに犬の里親探しをしてくれるNPO法人があるかもしれないと伝えました。 それでも自分自身で探すつもりはさらさらなさそうに見受けました。 おばあちゃんが殺処分されるのはかわいそうだと思って招いたこの結果です。 このまま誰も手助けしなければ最終的には最悪の全数処分になるだろうと思いました。 ご近所さんはもう一度もらいに行くつもりのようです。 私はそれまでに何らかの解決方法がないか考えてみることにしました。 |
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