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節操のない商魂

No.93(2002.08.25)


現在私が住んでいる地域は自然環境が割合豊かなのでそれを生かして観光地として発展することを目指しています。

私自身も基本的にそのような方針に異論はありません。

ただし「自然」を売りにするわけですから観光施設を建設する際にはでき得る限り自然環境を保全するかたちで進めるのは当然でしょう。

現状ではそのような自然保護のための法整備は完全ではありませんから実際にそのような配慮がなされるかどうかは開発を行なう業者の資質に依存することになります。

2年程前にある日突然近所の雑木林数千坪の伐採と整地が始まりました。

調べたところ近々営業を開始する中規模の観光施設の第二駐車場として使用するためだと分かりました。

そういえばその頃「健康志向」で差別化しようとしているらしいその施設のモニターを募集するチラシが配られてきていました。

工事が始まってからしばらくの間、急に住処を奪われた小鳥達が群れを成して右往左往している様子が周辺で散見されました。

可哀相な小鳥達。

最終的には一本も木を残さず、平坦にした土地にジャリを敷くだけという砂漠のような駐車場になりました。

まさに自然破壊そのものです。

しかも実際に利用されているのならまだしも盛況だったオープン時を除けば、結果として正月とゴールデンウィーク、それに夏休みしか第二駐車場が利用されることはありません。

何故なら施設の建物の近くの駐車場に200台近く駐車できるので施設まで歩かなくてはならない第二駐車場にわざわざ車をとめる人などいないからです。

第二駐車場の近くに住んでいる方に聞いたところ以前よりほこりっぽくなったそうです。

さらに私が今思い出しても腹が立つことがあります。

オープンした時に初めてその施設のレストランに入った時、なんと録音した小鳥の鳴き声が館内に流されていたことです。

野生の小鳥達を追い払っておいて偽物で自然を演出する無神経さ。

その程度の経営者ですから事前に売りにしていた「健康志向」も今では何処かへ行ってしまいありふれた施設になってしまいました。


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