トップページへ

地方行政に接して (4)

No.85(2002.05.27)


赤い羽根共同募金や歳末助け合い運動(共同募金)は皆様ご存知のことと思います。

私もかつて東京に居た頃は季節になると街頭で募金を呼びかける姿を目にしたものです。

当然ですが募金をするかしないかはあくまで個人個人が決めることでした。

私が以前に住んでいた集落では、驚いたことにそれらの募金は強制に近いかたちで集められていました。

金額ははっきり覚えていませんが一戸当たり一律数百円ずつの徴収でした。

いつからその様な方法で集金するようになったのかは知り得なかったものの、後に公民館長(行政区長)を務めた時にその仕組を初めて知りました。

社会福祉協議会といういわゆる外郭団体の総会に出席し、会計報告を聞いたことによって概略がつかめたのです。

その実態は都道府県の上部組織から市区町村に対して徴収金額を示してくるのです。

恐らく大元は国だと思われますが。

都会とは異なり農村地帯などでは街頭での募金で集め得る金額は微々たるものでしょう。

そのような市区町村では苦肉の策として各行政区(集落)ごとにそれぞれ徴収金額を定めるのでしょう。

それら募金を含めた協議会の歳入はまず都道府県の協議会に対して上納され、7割から8割が再び協議会に返ってくるという「ピンはね」のような慣例には驚きを通り越して呆れてしまいました。

誰も異論を唱えないので私がその点について質問しました。

地方公務員で定年後に天下ってきた職員が答えてくれました。

曰く、「他の市区町村より割戻し率は高いので当地は良い方です。」と。

そのようなやり方に何の疑問も感じていない人間に聞いても無駄だったようでした。

それでもその回答からは別のことが見えてきます。

上部組織の指示通りの金額か、あるいはそれ以上のものを上納し続けていれば段々と割戻し率が高くなっていくらしいということです。

ここでも「アメ」と「ムチ」が上手く使い分けられているのでした。


前に戻る 目次へ戻る 次を読む