トップページへ

地方行政に接して (5)

No.86(2002.06.04)


行政がある地区で新規事業を開始する際には、普通事前に地元で説明会を開きます。

行政側の事業内容の説明は形式的なもので、それに対する地区民からの質問もありきたりな内容に終始します。

公式な場ではだいたいいつもそうです。

実質的に情報伝達を担うのは、事前の根まわしや説明会の後でそのままその場で催される懇親会という名の飲み会なのです。

皆でお酒を飲むからにはそれなりの経費が必要になってきます。

会費を徴収することもありますが稀です。

それではこの食料費はどのように捻出されたのでしょうか。

継続的な事業やある程度大きな事業の場合は行政が音頭をとって「○○(推進)協議会」という組織を最初に設立します。

担当職員のほかに、行政に関係した何らかの役を務めている人やその事業に適した人を地区民のなかから会員に加えて構成します。

目的は事業の円滑な推進という曖昧なものです。

その協議会に行政から予算を配分し、そのうちの一部が食料費として使われます。

十分な予算化が難しい際には該当する全戸から広く薄く協議会費として徴収することもありますし、逆に潤沢な資金が確保された場合には研修と称した旅行にでかけることもあります。

協議会を発足させるのは必ずしも新しい事業を始める時だけではありませんので以上は一例です。

行政側がある目的で予算を組みたい際に、あたかも住民がそれを望んでいるかのように偽装するための協議会などもありました。

要するに役人が自身の責任を少しでも軽減したいというのが協議会を置く真意なのです。

他人の金で遊興したい。

高級官僚から庶民まで、その金額の桁は違っても望みは同じようです。

物事を円滑に進めようとするとどうしてもお酒の力を借りなければならない、というのが我国のお国柄なのです。


前に戻る 目次へ戻る 次を読む