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野草に親しむ (ヨモギ)

No.20(2000.03.04)


草餅に使われるヨモギはお灸のもぐさの原料としても知られています。

農村地帯ではそこいらじゅうにはえているヨモギですが都市部ではほとんど見かけなくなってしまいました。

私自身にとっても田舎に移住するまではけっして身近な植物とは言えませんでした。

地元の人は草餅に使うことから「モチクサ」と呼んでいました。食用としては新芽の佃煮や天ぷらも美味しいです。

それから干して乾燥させればお茶としても楽しめますし、それを浴槽にいれると身体が暖まる薬湯になります。

しかし日常生活でのもっとも頻繁な用途は切り傷やすり傷の薬としてのものでしょう。

柔らかそうな生葉を両手の平でよくもんで絞った青汁を患部につけるのです。

不慣れな農作業をしていてよく鎌で指を切ったのですが、初めてヨモギを使った時の効き目には正直驚かされました。

傷口の治りが早く、しかもあとが残りにくいのです。

理想的には傷口を消毒したうえで洗ったヨモギを使うべきなのでしょうが、実際には口で消毒してちぎったヨモギをそのまま使うことがほとんどでした。

それでも効きます。

邪魔な雑草として考えればこんなに性質の悪い絶やすのが難しい植物もありませんが、その強靭な生命力の恩恵にあずかると感謝の念がわいてきます。


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