トップページへ

五右衛門風呂につかって (1)

No.4(1999.07.17)


皆さんは五右衛門風呂を知っていますか。

石川五右衛門の釜ゆでの刑に使ったとされる、鍋のように下から直火で沸かす風呂のことです。

私が田舎暮らしを始めた家は中古住宅だったのですが、そこの風呂がこの五右衛門風呂でした。

それまではガスで沸かす外釜式の風呂を使っていましたし、子供の頃に父の生家で入った薪で沸かす風呂も浴槽が木製の外釜式だと思われるものだったので、私にとっては初体験でした。

べつにお釜の形をしているわけではなく見た目は普通の風呂で、ホーローの浴槽にプラスチック製の底板でした。

引越した初日にさっそく風呂を沸かしてみようということになったのですが、排水口の栓が見当たりません。

底に直火が当たるので排水口は浴槽の側面の一番下に付いていました。

仕方がないのでそこに色々なものを詰めてみましたが、水はそう簡単に止められません。

途方に暮れて洗い場のタイルの上に立ち尽してふっと足元を見ると、やけに排水口のふたが大きいのです。

おやっ、と思って中をのぞいてみるとそこに水道の元栓に付いているような回転式のコックがあったのです。

なんと浴槽の排水口の開閉はそのコックでするのでした。

考えてみれば浴槽の下部は相当高温になるでしょうからゴムの栓などは使えませんよね。

こうして私と五右衛門風呂の長い付き合いは間抜けに始まりました。


前に戻る 目次へ戻る 次を読む