誰もがスマートフォンでインターネットを利用する時代になり、ネットを活用して有名になる人たちが登場しました。 有名になる手段、道筋が一つ増えたものの、ネットを経由するのが有名になれる近道だというわけではないと思います。 そもそも有名になるのは結果であり、それが目的であるという人たちは、かつては少数派だったのではないでしょうか。 ところが、先日アメリカのテレビニュースを見て、時代が変わっていたことを再認識させられました。 IT社会に生きる現代の若者の夢の一つとして、SNSで有名になって広告塔となり大金を稼ぐ、ということも当然のこととしてあるらしいのです。 今までは、社会での実績により有名になった人が、マスコミの宣伝に出演して高額の報酬を得る機会を獲得する、という順序でした。 楽をして大金を得ることに臆面がなくなったのが大量消費社会の必然的帰結だとしたら、皮肉ではなく文字通り夢のない世の中です。 金で買えないものは夢とみなされないとは、寂しくもあり、悲しくもあり、です。 それはさておき、本題本題。 厳密な定義はわかりませんが、有名税とは有名になったことによって生じる日常生活の質的変化だと考えています。 周囲からの雑音で心の平穏が乱されたり、身を守るために費用がかかったり、というようなことでしょう。 その昔、ロックバンドのポリスが成功を収めた頃に読んだスティングのインタビュー記事の内容を今でも覚えています。 音楽業界に「ゆすり」や「たかり」がはびこっている現状を嘆いていました。 大金を手中に収めた人のところには、手練手管を用いてお金をかすめとろうとする輩が自然と集まってくるのが世の常のようです。 成功者にしてみれば迷惑な話でしかないものの、財源はあるので弁護士やボディーガードを雇って対処することになります。 また、プロダクションや芸能事務所などの組織に所属して身を守ることもできます。 何の後ろ盾もない素人が、インターネットを上手に活用しつつ、ちょっとした才能を生かしてチャンスをつかんで突然有名になってしまったとしたら。 現代では時々実際に起こる事象でしょう。 実収入が増えるわけでもないうちに名前だけが知れ渡ってしまうことになります。 知名度が上がるのと収入が増えるのが同時並列進行するという、かつての一般的な成功例とは異なる展開です。 しかも一連の流れが進むスピードも高速です。 有名になれば有名税は即課されます、準備ができていようといまいと。 有名人に近づいてくる人は、金銭目当ての人だけではありません。 ストーカーのような異常者も一定の割合で出現しますし、異常度のレベルには段階があるようです。 モーリー・ロバートソン氏がある女性アイドルから聞いた話をテレビ番組でしていました。 ファンが100人の時の100人に一人の異常者の異常度合いと、ファンが一万人になった時の一万人に一人の異常度合いでは雲泥の差がある、という体験談です 。 また、ファンの数がそれほど多くない段階においても突発的に異常度合いが高いストーカーが出現することもあり得ます。 異常度合いが高いレベルになると、変なファンが迷惑という話ではなく、いつ犯罪に発展するかわからない一触即発状態です。 たとえばフリーランスでネットアイドルを目指すのであっても、避けては通れない道だと考えます。 自分一人だけの力で身を守るのは非常に困難、というか不可能ではないでしょうか。 ネットを使って有名になることを目指すのであれば、有名税の存在を認識して事前にできる限りの準備をしておくべきです。 準備ができない場合は、ネットを介して有名になる道を断念した方が身のためだと思います。 スカウトされることに期待する、オーディションに応募するなど、別の道を歩みましょう。 もっともスカウトやオーディションなどのリアルな世界で挑戦する場合でも、他人を手放しで信用してはいけませんよ、当然のこととして。 今回は老婆心からの忠告ということで、コーナーの趣旨から外れた番外編となりました。 |
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