熊本県産とされているアサリの市場流通量が異常に多いことから発覚した産地偽装事件が報道されました。 実際に熊本県から出荷可能な量の20倍近い流通量だったとのこと。 例によってどのようなきっかけで表面化したのかという具体的な経緯は報道されません。 私が驚いたのは事件そのものよりも、事件の背景として解説された内容でした。 熊本県外のどこかから移送されたアサリを数か月間熊本県の海に浸けておけば熊本県産と表示することが許されているのです。 かなり前のことですが、潮干狩り場でくり返し撒かれているアサリは北朝鮮産の疑いがある、という記事をネットで読んだ記憶があります。 今回の報道では問題のアサリの原産地は中国とされているようですね。 もっとも一番気になるのは原産地よりもアサリそのものの食品としての安全性です。 熊本県に移送される前の段階で、有害物質に汚染されているかどうかの検査を行なっているのかという点です。 全量検査は到底不可能なことは理解できます。 実際にはどのような検査が行なわれているのかが気になるところです。 食べても大丈夫かという安全性が一番の関心事となるのが、いわゆる庶民感覚だと私は思っていました。 その後関連ニュースを見て、私の認識が誤りであると思い知らされました。 熊本県産と表示されているアサリを回収したために他県産のアサリの需要が増えたとの報道でした。 その県では定められた期間地元の海に浸けているので違法性はない、とのお墨付きともいえる解説をしていました。 私が本質的な問題ではないかと考えている部分は問題視してしない、という姿勢での報道と思われます。 トレーサビリティーという消費者が食品の安全性を確認できる新たな指標を提示したのはどこのどちら様でしたっけ。 と、人知れず毒づいてしまいました。 現在の庶民は、かつて庶民感覚と呼ばれた学識経験者にはない直感的な判断力を失ったのでしょう。 食品の産地偽装も安全性もさして気にならない人たちの方が多数派となってしまっているように思えます。 自分の頭で考えるよりは、マスコミの報道を疑いなく受け入れる方が、心の負担は少ないですしね。 庶民が健全な感覚を取り戻すために、インテリと呼ばれる方々からのご教示は役に立たないと感じます。 メディアリテラシーとか言われましてもね。 まずは物流など社会の仕組みを簡素化公正化して欲しい、と個人的には思っています。 さらに見える化、情報公開も必須事項ですね。 |
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