スマホは使っているもののSNSは一切利用しない、という人はいるのでしょうか。 仕方なく嫌々携帯電話からスマホにした高齢者くらいではないか、と推察します。 それ以外の人たちは全てスマホでSNSを利用していることと思います。 ベストセラーになっているらしい「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著)を読みました。 内容はだいたい事前に予想した範囲内で、やや期待はずれでした。 もっとも一番問題なのはスマホそれ自体よりもSNSである、という主題には「NO SNS」を標榜する身としておおいに共感しました。 一番重要なのは、今利用されているSNSは悪意に満ちた設計思想で作られていると解説している部分だと思いました。 人間の脳に関する研究成果を存分に活用して、快楽に溺れる無限地獄に誘い込む目的で作られているのが現在のSNSだそうです。 この主張に対して、私はまったく異論なく同意してしまいますね。 ただし、善良な方針でSNSを再設計することは可能であり、そうすべきではないか、という主張には賛同しかねます。 GAFAなどを中心に、既存の勢力が浸透し尽くしている現状をかんがみ、非現実的な提案だからです。 ところで、地上波のテレビ番組をまったく見ない私でも、尾木ママと呼ばれる教育評論家は知っています。 以前、同氏がテレビではなくラジオの番組でスマホについて意見しているのを聞きました。 フランスでは中学生まではスマホの使用を禁止しているので我が国でも相応の措置を検討してはどうか、というものでした。 テレビにちょくちょく顔を出す有名人嫌いな私の同氏に対する評価は低かったのですが、この発言を聞いて見方を改めました。 常日頃私が連れ合いに話しているのとまったく同じ意見だったからです。 現状のSNS用スマホの使用については、緊急避難的に小中学生の使用禁止を法制化するべきだと考えています。 SNS以外のなんらかの機能、たとえばGPS機能などを特殊な事情で必要としている小中学生はいるかもしれません。 例外的な事例を口実に、スマホの使用は法律で禁止すべきではない、と主張する人たちが出てきそうな予感がします。 そのようなケースには、必要な機能に対応できる専用機器を新規開発すれば、あらたな市場が生まれて一石二鳥だと思います。 とにかく今のスマホを子供たちが自由に使える状態のまま放置することは非常に危険です。 「スマホ脳」には、そこまでの強い主張はありません。 もの足りないと感じてしまったのはそのためでしょう。 かつて井上陽水が歌ったように、欲望とは限りないものです。 だからこそ「足るを知る」ことが大切になってきます。 「足るを知る」ことは子供から大人になるステップの一つだと考えます。 スマホを常に肌身離さずSNSで脳内麻薬(快感物質)を断続的に放出し続けていれば中毒になるのは必然です。 昨今常軌を逸した行動を起こしてでもSNSで衆目を集めようとする青少年が出現しているのは、まさに「足る」を知らない精神が成せる技なのではないかと推測しています。 読者の皆さんは、子供たちにスマホを自由に使わせつつ普段の生活で「足るを知る」を学ばせることはできる、とお考えですか。 私には不可能にしか思えませんが。 「足るを知る者は富む」 心の豊かさが幸福への鍵だと考えます。 「足るを知る」のは「あきらめる」ことではないのだと思います。 |
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