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T-BIRD

T-BIRDのコンサート招待券(jpg,33.6k) T-BIRDのコンサート招待券のはがき面(jpg,33.6k)
No.54 : 1980/4/26

当時楽器業界の片隅にいた私ですが、情報収集はネットからとなった今だからこそ書ける、という回です。

このコンサートは上司だった関原幸男さん(以後S氏)に誘われて勤務を終えてから見に行ったのです。
ここからは例によって不確かな記憶に頼っているので事実は若干異なっている可能性もあることをお断りしておきます。(苦笑)

私にとって予備知識のまったくないバンドだったので、S氏に声をかけてもらってもあまり乗り気ではありませんでした。仕事が忙しいことを口実にして行かない、という選択肢も頭の中にありました。

そんな私の内心を察したのか、残務は明日やればいいから、とS氏が強く同行を促すのでしぶしぶ行ったようなものです。開演時間には間に合わなかったので、途中からの鑑賞となりました。

客席の一番後ろあたりから立って見ていたのでメンバーの顔などはよく分からなかったものの、音は当時としては良い方でした。

期待していなかった私が驚かされたのはコーラスハーモニーの素晴らしさでした。外タレ(死語か)と比べても聴き劣りしないレベルだったのです。

日本でもフォーク界にはコーラスが上手なバンドはあったものの、コーラスハーモニーを売りにしているロックバンドはないと当時思っていたので非常に感心しました。

コーラスが上手で凄いとS氏に話すと、音程がしかっりしているだけでなく声質を寄せてそろえているからきれいにハモるのだ、と教えてくれました。

また、メンバー全員が本当に楽しんで演奏している感じが伝わってくるし、スポットライトはやたら明るく照らすし、でステージからは今でいうオーラが放たれていました。(笑)

終演後に観客が次々に帰っているのにS氏が会場から出ようとしないので、満足感充実感に満たされていた私も一緒にそのままいました。

少ししてセンターポジションのメンバーがS氏に会いにきたのでビックリしました。後から知ったのですがS氏はサーフ・ライダーズのメンバーだったので何らかのコネクションがあったのでしょう。

もう一つ私がビックリしたのは、メンバーを近くで見た時の印象がステージ上での雄姿とあまりにもかけ離れていたことでした。

普通のおっちゃんやん。(失敬)
私とそんなに歳が離れているわけではないと思うのですが、正直そんな風に感じました。

さて、ここからが冒頭で述べたことになります。

インターネットでT-BIRDについて調べてみたところ、石川県出身のバンド「めんたんぴん(以後めんぴん)」の弟分という位置づけだそうです。連れ合いがその昔めんぴんの追っかけをしていて同県にあるメンバーの家まで遊びに行ったこともあって、身近に感じられるようになりました。

詳しいことは忘れたものの、以前にめんぴんのメンバーの方とメールのやり取りをしたこともありました。

T-BIRDに関してはフェイスブックで情報発信している方がいてSNS否定派の私でも読むことができたので参考になりました。「日本のロック」リアルタイム体験者の私には興味深い内容が多かったです。リンクはしないので興味のある方は検索してみてはいかが。
また、「夕焼けまつり」で検索すれば「日本のロック」フェス史のお勉強になるかも。

余談その一
同時期デビューのセンチメンタル・シティー・ロマンスというバンドについての思い出話です。

愛川欽也司会、アン・ルイス、シェリーがアシスタントのロックバンド勝ち抜き番組「ザ・チャレンジ」に出演した時、彼らはドゥービーの楽曲「チャイナ・グローブ」を演奏しました。
曲中のピアノが前面に出るフレーズのところを「お猿のかごやだホイサッサ」という同じリズムの童謡メロディーに変えて弾いて笑わせてくれました。

余談その二
ニコレット・ラーソンの回に載せたお仕事がらみの時もS氏に同行したのですが、今回思い出したのは同じくS氏に同行した仕事で、ジェフ・ベック来日公演時にプロモーターからギターの緊急修理依頼があった件です。

時は1980年。私はもしもの時の通訳役ということで同行したのでした。当時のジェフ・ベックはギターのメンテナンスにあまり関心がなかったようで、私から見てもギター(ストラトキャスター)がベストコンディションにあるとは思えない状態でした。オールド・ギター専門店吉祥寺ヴィンテージ・ギターの高野さんが、ベックは「弘法こうぼうふでえらばず」の典型だ、と言ってましたっけ。

余談の余談(笑)
高野さんは当時外タレ達から「ブギーマン」と呼ばれていたとご自身からお聞きしました。外タレの来日公演時にギターやベースに想定外のトラブルが発生し、どうにもならない時に声がかかることが多かったそうです。無理難題にも応えてくれる達人ということで愛称が決まったようです。

閑話休題
で、高野さんのピンチヒッターとしてS氏が問題解決(ネックヘッド部ナット割れで交換調整)したのです。
ギター処置後に日本武道館ステージへの通路に待機しているとリハーサル開始時にベックが私のすぐそば3mくらいのところを歩いて通り過ぎ、と思ったらコージー・パウエル似のローディーでした。(笑)

が、しかし、後に続いてジェフ・ベック本人が私の目と鼻の先を歩いていきました。BBAの来日公演の際に特上席で鑑賞した私でしたが、この時が生涯でジェフ・ベックに一番近づいた瞬間でした。(汗)

そして緊急対応のお礼としてプロモーターがコンサートの座席を提供してくれました。チケットがないのでこのコーナーには載せませんでしたが、2階のステージに向かって右側の位置でした。

S氏と並んで見たのか、S氏は所用で先に帰ったのかを覚えていません。それだけ没入していたのかもしれませんが、内容は覚えていません。やっぱ仕事がらみだったせいかも。(苦笑)

メンバーすらうろ覚えだったので、これまたネットで調べました。トニー・ハイマス、モ・フォスター、サイモン・フィリップスという面々でした。

最後にT-BIRDのお話を。
この招待券を外タレのチケット同様保管していたのは彼らの演奏、とりわけコーラスハーモニーに魅了されたからだと思います。
とかく思い出は美化されがちですが、その瞬間に感激したことは確かです。
(2023.02.27記)



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