この時の本多俊之氏の演奏に関しては何も覚えていない。きわだった個性が感じられなかったからかもしれない。 本多氏に関して強く記憶に残っているのは、この2~3年前に氏の出身校SK大学の学園祭に行った時の出来事だ。 なんらかのジャズ研系の団体に属していたと思われる氏は、ジャズ・クラブを模した企画に出演していたのだ。 当時は彼の親父さんが有名なジャズ評論家だということで彼自身のことも話題になってはいたが、まあ名前は知っているという程度だった。 氏の後輩と思われる男子学生が店頭で客寄せをしていたのだが、その必要以上に興奮している姿にこちらが後ずさりしてしまうほどだった。 この事から学内ではかなりのカリスマ性を発揮していたであろうことが推察される。(かな?) その後伊丹監督の作品のサウンド・トラックで日本アカデミー賞を受賞し彼の作風を猿まねする輩(失礼)まで出現したのは周知の事実だ。 で、もう1人の川崎燎氏の演奏を生で見るのがこの時の楽しみであった。 渡米し活躍していた氏はこの数年前からメンバーを伴ないしばしば来日し演奏していた。 私はその模様をFM放送で聴いたりテレビの「パイオニア・ステレオ音楽館」(懐かしい)で見たりしていてそのエキゾチック&エキセントリックな音楽に興味をもっていたからだ。 しかしこの時は日本人メンバーをバックに(キーボードでビクター・フェルドマンがいたような不確かな記憶もあるが)オーソドックスなジャズ的アプローチの演奏であった。 それでも氏の確かなテクニックには納得させられてしまった。 とりわけ私が驚かされたのはウェザー・リポートのナンバー「Pinocchio」を演奏すると氏が自らMCした時だった。
あんなに難しい曲を演奏するの?
そんな私の心配は老婆心に過ぎなかった。 本家に負けない素晴らしい演奏が繰り広げられ感心し感動もしてしまった。
やはり本場(死語)で鍛えた人は足腰が強い。(<何のこっちゃ) |
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