2002年5月分

音楽雑記帳

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5月31日(金) 夢中になるって恐いこと

先日取り上げたcarly simonが歌う「Nobody Does it Better」を無性に聴きたくなったので映画「私を愛したスパイ(THE SPY WHO LOVED ME)」のサントラ盤を買いました。

作曲者のmarvin hamlischはブギ・ウギ・ピアノを大衆化した映画「スティング」の音楽でアカデミー賞を受賞しています。

Nobody Does it Better」のイントロのピアノにもブギ・ウギ独自の美味しいところがそのまんま表われていて聴いたとたんにその商売上手さに微笑してしまいました。

ところが映画を見ながら聴いた時には物語に夢中になっていたためかまったくそのことに気が付きませんでした。

感情の高まりは人から判断力を奪うのだということを実感しました。

かつて三無主義だとか四無主義と言われ無感動を嘆く風潮がありました。

近頃はお手軽に感動させてくれる本や番組(やゲーム?)の需要が多くなっているように見えます。

言ってみれば「感動ビジネス」でしょうか。

感動が結果でなく目的になるというのはどう考えても異常だと思うのですが。

これも物は豊かでも心が貧しくなったことの証左の一つかもしれません。

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5月25日(土) アルバムを買う時期と聴き込み度の相関関係

先月に続いて今月もdavid bowieの旧作を2枚買いました。

STATION TO STATION」を買うつもりがたまたま在庫切れだったため「LOW」と「LET'S DANCE」にしました。

上記3作はいずれもかつてアナログ盤をもっていた作品で、「LOW」以外は先月取り上げた「HEROES」同様ほぼ発売と同時に買いました。

LOW」だけはアナログで廉価盤になってから買ったので発売後数年は経過していたはずです。

当時は経済的に余裕がなかったので好きなアーティストの新盤発売が重なると話題作まで手が回らないことがしばしばありました。

今思えば「LOW」以外の3作にはそれぞれシングル・ヒットがあり、そのあたりも関係していたかもしれません。

数年遅れで買った「LOW」はあまり聴き込んでいないことが今回CDを買ったことではっきりしました。

何故なら、冒頭のインストゥルメンタル曲「SPEED OF LIFE」を今まで某局某番組のテーマとして頻繁に耳にしていたのにbowieの曲だと気が付かなかったからです。

そんな状態でしたので「LOW」は新鮮な気持ちで何度も聴くことができました。

雰囲気はちょうど「STATION TO STATION」と「HEROES」の中間で、当時のdavid bowieの活動には音楽的連続性があったことを再認識させられました。

個人的にはロックンロール度の高い「LOW」よりも妖しさが濃い「STATION TO STATION」、「HEROES」の2作の方が私の好みです。

これら再発シリーズをパソコンで聴こうとするとまずネットにつなごうとする点はちょっといただけません。

まあパソコンで聴く方が間違っているとも言えますが。

早く(昨年からの懸案である)オーディオ装置の刷新をしなくっちゃ。

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5月15日(水) ジャコ好きの方は必聴か

今回は没後15年経った今も企画ものやトリビュート盤がなかなか後を絶たないjaco pastoriusに関連した作品をとりあげます。

私が大好きで聴き込んだ彼の演奏は衝撃だったソロ1作目とweathr report在籍時のものが中心になります。

もちろんソロ2作目の「WORD OF MOUTH」や亡くなった後に発表された数作ももっています。

が、それらはあまり頻繁には聴く気になりませんでしたし、亡くなった後で続々発売された怪しげなギグもの(?)は買う気にすらなりませんでした。

またトリビュートものでは「Who Loves You」は買ったもののその後に出た日本人も参加しているやつは食傷気味で見送りました。

さらに他のアーティストの作品での彼の演奏を集めた「RARE COLLECTION」が発売された際には喜び勇んで買い求めたくちでした。

その後何曲か追加収録され紙ジャケット盤で再発された時には心底腹が立ちましたが。

故人の作品に締め切りがあるのか、と怒りたくもなります。

おっといけねぇ、横道にそれてしまいやした。

で今回の作品は私がずっと「きわもの」だと勝手に思い込んでいた(笑。でもそうかも)キングレコードの低音シリーズのなかの1枚です。

ベース弾きbrian brombergの「PORTRAIT of JACO」。

ジャコのファンならまずタイトルに唸ってしまいますね。

かつてmarcus millerがアルバム「The Sun Don't Lie」のなかで「Teen Town」を原曲よりも速いテンポで全編スラップで弾いていたのにはビックリ仰天したものです。

ここでは同じその曲を逆転の発想で解釈した、それとは好対照な興味深い演奏も聴けますよ。

まあ世の中には楽器演奏が上手い人達がぞろぞろいるんだなと思い知らされ、でもジャコの魅力は技巧だけではなかったな、と感慨無量にもなりました。

ジャコの熱烈なファンなら必聴の作品と言っても過言ではないでしょう。(過信だったりして、、、)

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5月10日(金) 新鮮な再発売もの

その昔FM放送での山下達郎氏の番組でburt bacharachの奥方であるらしいcarole bayer sagerの楽曲を聴きました。

なんて素晴らしい曲なんだろう、と感動したものの残念ながら曲名は分からず仕方なしに彼女の名前だけを心に刻んだのでした。

その頃はちょうどアナログ盤からCDへ移行する過渡期だったためか彼女のアルバムをみつけられませんでした。

数年後に廉価盤のCDとして最初の2枚が発売されているのを知りすぐに買って聴きました。

残念ながらラジオで聴いて感動した曲は収められていませんでした。

話は変わって映画の007シリーズについて。

毎回音楽も話題になったこのシリーズのなかで私が一番好きなのは「私を愛したスパイ」の挿入歌、carly simonが歌った「Nobody Does it Better」です。

あんまり気に入ったのでビデオ画面を一時停止にして作曲者を調べたらmarvin hamlischとなっていました。そして作詞者がcarole bayer sagerその人でした。

それを知ってからあらためて彼女の2枚のアルバムを確認したところそれぞれ1曲ずつ二人で作った楽曲が入っていました。(「SWEET ALIBIS」と「THERE'S SOMETHING ABOUT YOU」)

それら2曲を聴きなおしてみるとコード進行や雰囲気が前述の007挿入歌とそっくりでその一貫性に思わず笑いながらも感心してしまいました。

今月初めに彼女の3枚目のアルバム「SOMETIMES LATE AT NIGHT」が国内盤としては初CD化されていたのでさっそく手に入れました。

burt bacharachとゴールインする直前に製作されたためかほとんどの曲が彼の作曲で、残念ながらmarvin hamlischは編曲で1曲のみの参加でした。

また今となっては既にどの曲が昔感動したものかも判然としないという結果でした。

ライナーを読むと3作目が一番の傑作とされているらしく私もそれに異論はありません。

が、最初の2枚も先に述べた1曲を聴くためだけにでももっている価値はある、と個人的には思うくらい2曲とも大好きです。

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5月5日(日) 流行を取り入れる商魂

最初に聴いた時の第一印象があまり良くなかったのでそのままにしていた作品を聴き直してみました。

昨年発表されたrandy breckerのソロ作「Hangin' in the city」です。

初めて聴いた時のちょっとした失望感はドラムが全部打ち込みだったせいかもしれないなと今は思います。

彼の実弟michael breckerは真摯にオーソドックスなジャズを究めようとする求道者のような音楽家です。
その姿勢は尊敬するものの私はちょっと「着いてけない感」もありここ数作は聴いていません。

それとは対照的に兄である彼は今までも常に流行を意識しつつ製作してきた商才に長けた人です。

今作もそんな彼の意向が反映された仕上がりです。

brecker brothersの音楽性が好きな方にはおすすめなアルバムです。

兄弟名義のバンドを再々結成して活動してくれるとファンとしては嬉しいのですが。

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