1999年7月分

音楽雑記帳

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7月30日(金) 時間認識のパターン?

昔々、音楽評論家の今野某氏と渋谷某氏がロック・バンドにおけるリズムの扱いについて音楽誌上で論争(?)したことがあった。

K氏は黒人のメンバーを加えたトーキング・ヘッズ、S氏はポリリズムを取り入れた新生キング・クリムゾンにそれぞれ組みした代理戦争だった。

その時にS氏がリズム感を「時間認識のパターン」と定義していた。

言われてみれば確かにそうかもしれないが、何か釈然としないものを当時は感じた。

その後本来K氏の得意分野であったショウビズ系の分野にもS氏が進出し、いつのまにかK氏はいなくなっていた。

結局バンドの代理戦争ではなくて、業界内での生き残りをかけたつぶし合いだったようだ。恐ろしや。

ここで突然led zeppelinの「PHYSICAL GRAFFITI」に話題は変わる。(^^;)

それまでもジミー・ペイジのギターを完全にコピーしたことは一度もなかったが、コピーのまねごとはしていた。

ところがこのアルバムは最初に聴いた時から何故かコピーしようとは思わなかった。

それでは好きではないのかというとそんなことはなく、かなり聴く回数が多いアルバムだ。

このアルバムは曲数を絞り込めなかったもののギターの重ね録りが少なく、次の「PRESENCE」で確固としたものになる「潔さ」が表われ始めた作品だ。

それもコピー衝動が起きなかった理由の一つかもしれない。

このアルバムには10分前後の大作が3曲収録されていている。そしてそれらの曲を私は好きなのだが、、、

昔聴いた時にはもっと長く感じたのに、今はあっという間に終わってしまう。

歳とともに私の時間認識も変化してしまったようだ。

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7月22日(木) BGM、是か非か

CD屋さんで試聴してみたらけっこう聴けるんでThe Chemical Brothersの「Surrender」を衝動買いしてしまった。

音楽誌でそのグループ名を知り、昔で言えばドゥービー・ブラザースのような危ないネーミングがちょっと気にはなっていた。

しかし少し気に入ったくらいで買ってしまったのは彼らのマスコミでの露出度の高さが潜在意識にはたらきかけた結果か。

こういう音を聴いても、色々なスタイルの順列組合わせなので特に新鮮味を感じることはない。

だから好みの要素が自分の感覚に合致してどれだけ含まれているかが好き嫌いの分かれ目になる。

このアルバムはじっくり聴いてもなかなかだし、音量を下げて聞いてもBGMとして邪魔にならない。もっともそれが良いことかどうかは問題だが。

この時ついでに(?)買ったprodigyの「THE FAT OF THE LAND」や、以前にここでとりあげたmassive attackの「MEZZANINE」と比べてみても、各要素を上手く消化して無難にまとめているように感じた。

コラージュ、パッチワーク的手法も嫌いではないが、その手ばかりではみずから墓穴を掘るようなもんだと思う。

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7月15日(木) 魅力半減、至極残念

11年ぶりにニュー・アルバムが発売されるということで、待ってましたとすぐ買った。
SCRITTI POLITTIの「ANOMIE & BONHOMIE」だ。

「斬新な音」が聴けると心待ちにしていた私は肩透かしをくわせられた気分になった。

キーボードを使わないで作られたというこのアルバムは全曲がギター中心のオーソドックスなポップス仕立て。何でやねん!?

グリーンのボーカルの独特の声質を生かしてひねった部分は聴けるものの、シンセサイザーの音がないとはなんともさびしい。

テクノ(デジロック?)の手法を使ってセールス的に成功した若手のグループがいくつかあるが、それらとの差別化のためだろうか。

グリーンの声さえあればOKさという人は別として、「CUPID & PSYCHE 85」を出した時のような時代をリードするサウンドを聴きたい人にはおすすめできない仕上がりだ。

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7月10日(土) やっと本当にやりたかったことができる

ビル・ブラッフォードものの第2弾は彼がリーダーのグループ EARTHWORKSの最新アルバム「A part, and yet apart」だ。

ベスト盤を除いて今までの作品はすべて聴いているが今回のアルバムではサウンドが今までと大きく変化している。

彼以外の3人のメンバー(sax, p&kbd, bs)が交代したこともあるが、エレクトリック・ドラムをまったく使わない点に明確な意図が感じられる。

サウンドは、もちろんお約束の変拍子も登場するがフュージョン色がなくなりアコースティックなコンテンポラリー・モダン・ジャズしている。

かつてのキーボード・プレーヤーdjango batesはトランペットなど管楽器も演奏したので2管での迫力と緊張感を楽しめた。今はサックス1管だけなのでそれと比べると少しおとなしい。

シンセサイザーが入ったりするとパット・メセニー・グループ風にも聞こえるが、ライナーを見たらアメリカでは同じ事務所に所属していた。

yesに入った時からジャズ・ドラムを叩きたかったらしいが、自分のグループでやっとそのスタイルで演奏できるようになったのだから、これからが勝負か?

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7月4日(日) ビル・ブラッフォードもの2連発

最近出たビル・ブラッフォード関連のCDからまずはU.K.のライブを!

ビル・ブラッフォードがいるのだから当然ホールズワースも在籍していた4人編成の時期、78年のボストン公演のライブである。

Renaissance Recordsという怪しげなところから出ているものを、日本のこれまた聞いたことのないベル・アンティークで扱っている。
(CONCERT CLASSICS Volume 4 UK : MAR 99507 定価3,000円)

音源は一番最初に出た海賊盤の「Paradise Lost」と同じラジオの番組からのものでツアー序盤の頃の演奏らしい。同ツアー終盤の4人編成分裂直前の海賊版「Road Test」の方は持っているので重なっていなくて良かった。

正規盤?として出すだけあってその音質はライブとしてはかなり良いと思う。左側に定位したホールズワースのギターもしっかり聞こえる。

さらに3人編成の2枚目のアルバム「DANGER MONEY」から数曲を演奏していて聞き比べるのも面白いかも。

演奏内容はファンにはおすすめ(笑)って感じだ。

私としてはギター・ソロが続いているのに(小節数で決まっているのかもしれないが)強引にキーボードのリフがかぶってきたり、また(録音方法の影響があるにしろ)ビル・ブラッフォードのドラムがやたら小手先っぽいところが気になってしまった。

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