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経験則の吟味

No.246(2022.12.02)


このところ天気予報の精度が以前と比べて下がったと思いませんか。

飛行中の航空機から得ている気象に関するリアルタイムデータがあるそうです。

コロナウイルスパンデミックの影響による航空便数の激減のためデータ量が不足していることが、予報精度低下の原因であると聞きました。

当地での当日の天気予報について言えば、私の経験則の方がよく当たるくらいです。

比較的安定した天候なら日中の天気は午前10時ごろに確定する、という単純な法則です。

朝方の天気がそのまま一日続くとは限らず、おおむね10時ごろの天気がそのまま一日続く事の方が多いのです。

広範な地域の天気予報には使えない経験則です。

気象予報士が天気予報の主役だと思うものの予報内容にそれぞれ若干の違いがあることと関係しているのでしょうか。

だとしたら相違点は各気象予報士の経験則が予報に反映されているからではないかと推察します。

客観的データ量の不足状況のために主観的ともいえる経験則を用いて無意識のうちに補足しているのではないか。

もっとも今はAIを活用した天気予報も多いのかもしれませんが。

AIだったら必ず同じ結果になるんじゃないの、と思っている方もいるのでは。

最近はつまらない(失敬)商品やサービスにもAI技術を売りにしているものが増えています。

なんだか「f(エフ)分の一揺らぎ」や「マイナスイオン」を思い出させる現象ですね。(苦笑)

私のAIに関する知識は聞きかじり情報のみですが(汗)、こんな感じです。

ビッグデータを解析して認識力や判断力を獲得していくという人間の学習に近い機能。
ディープラーニングという技術的ブレークスルーの賜物らしいです。

変なたとえをしてみれば。

ビッグデータ=えさ(餌)
解析処理法=消化吸収方法(アルゴリズム?)

正しいのかどうかは置いといて。(苦笑)

AIにえさを与えるのも消化吸収のしかたを教えるのも人間ということになります。

この二つが変われば学習した結果も異なってくる場合もあると考えられます。

数年前のことですが医療において検査結果からの病名診断にAIを活用したところ、人間より誤診が少なくはるかに優秀であった、という結果だったとのこと。

学閥や上位者への忖度など人間的なバイアスがかからないのが良いらしいと解説されていました。

この場合の「えさ」は、数値や画像などの検査データそのものですし、後に判明した実際の病名を参照して相関関係を確定していくという解析法でしょう。

想像するにデータ量と解析回数が増えれば無限に精度が上がりそうですね。(笑)

一人の医師が一生に体験できる症例の数などとるに足らない、などという不遜な感想さえ浮かんできてしまいます。

天気予報に話を戻すと、この医療診断とは比べ物にならないくらい複雑難解な問題をAIに課していると分かります。

地球温暖化が事実かどうかとは別に、地球が千年万年単位の長いスパンでの変化を続けているとしたらどうでしょう。

解析しようにも不確かな古文書や考古学領域のデータぐらいしか判断材料はありません。

人間が「えさ」をもたない分野問題ではAIを使えません。

ただし、AIはまったく新しい技術であるために、これまでの私たちの経験則では計り知れない影響を及ぼしているかもしれません。

皆さんが利便性と引き換えに、無償でSNSなどに提供している膨大な個人データ(「えさ」)をAIで処理して邪悪な目的のために皆さんの潜在意識にフィードバックしているとしたら。

日々の生活の中では注意深くありましょうね。

おっと、経験則は無効だし潜在意識は制御不能でした、とさ。


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