トップページへ

達成感と労苦

No.240(2022.04.01)


以前ラジオ番組で少々気になるアンケート結果を聞きました。

新社会人に仕事の実感を問うたものでした。

一番多かった回答は、仕事は楽だがやりがいがない、というものだったそうです。

多種多様な職業につく人達を対象にしていたのかどうかは分かりません。

一般論として簡単なことができるようになってもたいした喜びは感じないものです。

できなかったことが、努力や苦労を重ねてようやくできるようになった時に大きな喜びを感じます。

楽だと感じるような仕事をしたところで、やりがいを感じることがないのは当たり前だという気がします。

3年ほど前のことですが、私はかつて3Kと呼ばれた仕事を半年間経験しました。

3Kとは、きつい、汚い、危険、だったと記憶しています。

職種は伏せますが、習熟度も必要とされる仕事で、そこに魅力を感じいていたので一度はやってみたかったのです。

高齢でなかなか就職先がみつからなかったことをこれ幸いとして、以前から強く反対していた連れ合いを説得して始めた仕事でした。

3Kの仕事だけあって求人しても応募は少ないようで、面接で即採用となりました。

勤務開始直後に、短期間で辞める人が多いと聞かされました。

実際にやってみると体力の消耗が激しく、初日には帰宅するやいなやすぐ横になって仮眠してしまったほどでした。

同僚も皆きついと感じつつ頑張っているので、新人にすぐ辞められると困るためか、初心者のうちは比較的楽にできる仕事を分担させられました。

また手取り足取り指導や手助けをしてくれる良心的な人が多かったです。

重いものを持ち上げるので背骨に痛みが残ることがあったものの、習熟度が増していく実感がやりがいに結びつき、仕事に行くのが嫌だと思うことは一度もありませんでした。

職場には若い世代はほぼ皆無で、高齢者が多かったです。

求人しても若い世代からの応募はほとんどないようでした。

今の日本では3Kの仕事を外国から来た研修生にやらせることが常態化しているのでしょう。

私が勤めていた職場は将来性がないので、そのような研修生すらいませんでしたが。(苦笑)

長く勤めるには頑強な肉体と精神を要求される仕事でした。

その割に報酬は少ないです。

私は結果として半年で転職しました。

続けていたら多分体調を崩していたでしょう。

きつい仕事を共にしていた同僚たちのことは今でも時々思い出します、元気かな、と。


前に戻る 目次へ戻る 次を読む