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天然酵母パンを焼く

No.105(2003.01.27)


先の大戦敗戦後にアメリカ合衆国は対日食糧戦略の一環として日本国内でパン食推進運動を始めました。

その影響下にあった(パンが主食の)学校給食を成長期に食べさせられ続けた世代である私と連れ合いは、その結果として悲しいかな時々どうしてもパンを食べたくなってしまいます。

食生活にマクロビオティックを取り入れ始めた後には、安心して食べられるパンを焼いているお店で買うように努めるようになりました。

無農薬無化学肥料で栽培された国内産無精白小麦粉を、食品添加物はもちろんのこと、卵や牛乳、砂糖なども用いずに天然酵母で発酵させて焼き上げたパンが理想です。

田舎暮らしを始めてからは理想的なパンが入手困難になったので、なるべくこれに近いものを探して買うようにしていました。

マクロビオティックの料理教室に通い始めてからはできるだけ自家製のパンを焼くようになりました。

実際に天然酵母パンを焼き始めてみると発酵時の温度管理の難しさが分かりました。

パンを焼く前の準備としてまずは乾燥している天然酵母の元種に水を加えて生種おこしをします。この時も温度が重要です。

この生種に小麦粉などを加えてこねて1次発酵させ、さらにこねて空気を抜いて2次発酵させてから焼きます。

発酵時の温度が低すぎても高すぎても失敗してしまいます。

その当時我家では丸めた蒸しパン、型に入れてオーブンで焼く食パン、大きなドーナツ型に焼けるパン焼き鍋の3種類のパンを焼いていました。

冬場は室温が低いので残り湯をはったままの浴室で発酵させてみたり、夏場はなるべく涼しい部屋で発酵させたりと工夫はしてみたものの、夏と冬には上手に発酵させるのは非常に難しいことが分かったのでその時期には焼かなくなりました。

山にこもってからは平均気温が以前より低くなったので1年のうちで発酵可能な期間がさらに短くなってしまっていました。

そんな時に家電量販店で天然酵母パンも焼くことができる家庭用パン焼き器ナショナル自動ホームベーカリーSD-BT102をみつけました。

当時の実売価格は2万5千円くらいでしたので買おうかどうか数ヶ月間迷いましたが、2000年4月に思い切って購入しました。

これは我家にとっては大正解の買物でした。

購入前と同様に天然酵母は「ホシノ天然酵母パン種」を使っていますが、生種おこしで失敗することはまずありません。(24時間かかります)

製品付属の取扱説明書ではたんぱく質(グルテン)量の少ない国内産小麦粉では膨らみが足りないことがあると記しています。

我家ではそれでもあえて国内産小麦粉で、しかも発酵促進のための砂糖をも(取扱説明書に加えるとされているところを)加えずに焼いていますが十分に膨れてくれます。(焼き上がるまで7時間かかります)

色々と試行錯誤をした結果として我家の好みではフランスパン用の天然酵母の方が美味しいこと、干しぶどう、ゴマ、クルミのどれか、または組み合わせて加えた方が白パンより美味しいことが分かりました。

ただし厳しいこだわりのある方にとっては、手でこねないのでいわゆる「気」が入らない点、(人によっては汚いと感じるかもしれませんが私は大切だと思っている手の平からの分泌物)手塩も混ざらない点、火力もガスより劣る電気である点などに不満を感じるかもしれません。

一般的に言っても、置き場所が必要である点、こねる工程での騒音がけっこう大きい点などが問題になるかもしれません。

新聞報道によると「パン焼き器全体の年間販売台数はここ数年18~19万台(推計)で天然酵母対応型は市場全体の半分以上を占める主流の商品になっている」そうです。

パン食が好きで、天然酵母にこだわりがあり、なおかつ諸事情が許す方にはおすすめのパン焼き器です。


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