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農村で暮らす (9)

No.65(2001.10.21)


春を迎えた新年度からいよいよ土地の人が「組」または「実行組合」と呼ぶ組織に入れてもらうことになりました。

繰り返しになりますが、これは行政側が区切った行政区ではなく、それを構成している3つの旧小集落の一つがその単位になっています。

このように上からの区分けが旧集落と必ずしも一致しないことによる弊害が全国の農村地帯で発生している、と私は推察しています。

さて、ではこの組織は何のためにあり、また何をするのでしょうか?

東京で育った私は、回覧板の当番を交代ですることくらいの経験しかなかったので、当初はなかなか実態を把握できませんでした。

8年間暮らした後の今だからこそ客観的に全体像をとらえることが可能になったのだと考えます。

まず組織の役職から述べます。

組織図でいえば最上段に位置する代表は実行組合長で、納税組合長も兼務する地区が多いようでした。

この役に関しては、地区住民のあいだで年功序列の順番制という暗黙の了解があり、選挙で決めることは稀で、仮に投票までいっても形式的なものでした。

そして金銭の出納を受けもつ会計という役があり、こちらも表面上はなんとなく決まっていきます。
しかし、裏では組合長との相性などを考慮していましたし、信頼されていない人が任命されることは決してありませんでした。

30戸弱からなるこの地区は地域ごとに6~8戸からなる4つの班に分けられていて、それぞれに班長を選出し、さらに便宜上4人の班長のうちの1人を副組合長としていました。

この班長が、東京での回覧板や集金の当番に該当します。

また、前回までに述べた青壮年以外に、親子会、婦人部、老人クラブなどなど関連組織や下部組織もありました。

さらに、公的な消防団や青年団、伝統芸能保存会まで多くの組織があったのです。

過疎化が進んでいる所でこれだけ多数の組織が活動しているのですから、地域住民がそれらに費やす時間が長くなるのは当然です。


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