トップページへ

農村で暮らす (7)

No.63(2001.10.07)


私はひょっとこ踊りを一緒に踊ったことで青壮年団に入ったと見なされました。

後日、団の新年会を我家で行いたいとの打診がありました。
こういうことの対応は早いようです。

その時点で団員の中に既に顔見知りになっていたお隣りさんも数人いたので、多少の親近感はありました。

しかし、団の目的、活動など私にとって不明なことばかりなので、今後の展開に不安を感じ始めてもいました。

ですからこの申し出に対して私は、これが実情を把握する良い機会になると考えることにし、快諾しました。

引き受けたもののどのように持て成したらよいのか見当がつきませんでした。

心配だったので何人かの団員に質問したところ、場所だけ提供してくれればよい、とのことでした。
酒も料理も全て団で用意するというのです。

そうはいわれてもその言葉を真に受けて良いのかどうか迷ったので、最終的には我家でも一応それなりの準備をしてその日を迎えました。

その晩、仕事を終えた者から順に三々五々我家に集まり、最終的には総勢20人弱の団員がそろいました。

役をしている団員が酒や料理の手配をすることになっていたようで、十分な量のビールと焼酎、JA系のスーパーマーケット製のオードブルを持参して来ました。

実質的には初対面の人のほうが多いわけですから順番に自己紹介されてもすぐにおぼえられるわけがありません。
せめて顔だけでもしっかり記憶しておこうと私は必死だったと思います。

皆がある程度酔ってくると席順に関係なく適当に移動し始めます。
そして一対一で飲みながら語り合うという行為を順に参加者全員とそれぞれ行うのでした。
これがこの地での飲み会をする際の慣習であるとこの時初めて知りました。

そのような雰囲気の中、下戸の団員の一人がおそらく時間を持て余したのでしょう。
台所まで来て勝手に冷蔵庫を開けて中を見たり、寝室はどこかと質問したりしました。

私はそれに対して嫌悪感をいだくことはなく、むしろ、なるほどこれが農村の近所付き合いなのだ、と感心してしまいました。


前に戻る 目次へ戻る 次を読む