薪で沸かす五右衛門風呂の長所は残り火で湯が冷めにくいことで、冬場は特に助かります。 また、風呂からあがった後で湯冷めをしないのも特徴の一つです。 それと、まだ薪が燃えている時に湯船につかると下の方からじわじわと熱い湯が上がってくるのを感じます。
さて前回に、薪の種類によって燃え方が違う、という話をしました。ところが、驚いたことに使った薪の種類によって沸いた湯の性質も異なるのです。 同じ温度の湯でも軽い薪で沸かした方は肌を刺すような感じがするので、長くはつかっていられません。 それに比して、堅い薪で沸かした湯は刺激を感じないので、自分の好みの湯温より高くても不思議とつかることができるのです。 ですから結果として堅い薪で沸かした湯の方がより湯冷めをしません。 私が得意げになってそのことを近所の人に話すと、そんなことは子供の頃から五右衛門風呂につかっている人達にとっては常識でした。 より便利な生活をしている現代の子供たちにそのような感覚は身に付くのでしょうか。 同じ温度の湯でも性質が異なるということを、文字どおり肌で感じてみて、我々人間が便宜的に使用している各種の尺度というものを絶対視することの危うさを再認識しました。 |
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