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他人の処方薬で大火傷 (5)

No.90(2015.05.15)


湯穴温泉に電話をして薬品火傷になった経緯を話したところ、効能あり、との返答がありました。

まだ営業時間内だったので、その足で温泉に向かいました。

軒先で常連の老女と談笑中の二代目である息子さんに入浴料を支払う際に、服をまくって火傷の患部を見てもらいました。

さして驚く様子もなかったことから、この程度の症状の人達が大勢訪れていたのだと推測しました。

一緒にいたお婆ちゃんはびっくりしていましたが。

この温泉に浸かれば良くなりますよ、との言葉にも嘘偽りがないと感じられました。

久しぶりに脱衣所に入り、清潔感溢れる雰囲気ではなかったことを思い出しました。

地元の人達が利用者の主体であることも。

数人が入浴中の浴場へ入り、シャワーを浴びた後浴槽に浸かりました。

患部に沁みるのではないかと思っていましたが、むしろ気持ち良い感じでした。

案の定、赤黒くなった脇腹を見てどうしたのか訊かれたので、概略を説明しました。

その際の態度から、時々似たような症状のよそ者が利用に来ているために常連客にとっては特に珍しいことではないことが分かりました。

気兼ねせずに利用できそうなので一安心しました。

入浴を終えて服を着る時に、激しい痛みが治まっていることに気が付きました。

痛みがまったく無くなったわけではないものの、じっとしていても波状攻撃のようにおそってくる激痛が消えたのです。

患部の状態に目に見えた大きな変化がないにもかかわらず、これほど劇的な鎮痛効果があるとは。

期待以上の効果が嬉しかったので、帰る際に二代目さんに報告したところ、ともに喜んでくれました。


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