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ベータというビデオがあった

No.4(2002.05.11)


現在家庭用ビデオテープで一番普及しているのはVHSで、これはビクターが開発したものです。

庶民もちょっと奮発すれば家庭用ビデオデッキを買えるようになってきた今から20年くらい前には、もう一つソニーが考案したベータ(β)マックス(以下ベータ)という方式があり、VHSとの競合を続けていました。

今ではすっかり「無かった事」にされていますが、当時は他の家電メーカーも二つの陣営に分かれていました。

ビデオレンタル店にベータも併せて置いていた時代もかつてはあったのです。

実は私はちょうど20年前にソニー製のベータ型ビデオデッキを買ってしまったのでした。

サイズが薄く省スペースなことを売りにした1号機、いかにもソニーなSL-F11で、まだまだ高価なものでした。

勝負がついた後の今考えれば当時の私は「馬鹿」です。

しかし、当時のビデオデッキ購入者のなかでは決して少数派ではなく、多くの人が大枚をはたいてベータ型デッキを選んでいました。

なんせテープの録画可能時間が短いことが致命的欠点だったベータ形式も、その頃までには画質を落として録画時間を3倍にすることで誤魔化して克服していましたし。

ベータにした理由は、VHSより画質が良かったこととプロの現場ではソニーが主流という宣伝にのせられたからだと今にして思います。

ソニー製品恒例の1年以内の故障はあったもののその後は大きな問題なく使えていました。

しかし世の中の流れには逆らえません。

ビデオレンタル店からベータが姿を消した頃に、私はVHS型ビデオデッキを買わざるを得ませんでした。

初めてVHSビデオを操作した時にはベータとの違いに驚きました。

ベータは早送りや巻き戻しから再生に移るのは一瞬と言っていいくらい早かったからです。

今ではもうVHSに慣れて何も感じなくなってしまいましたが、切り替えた当初はその動作の遅さにイライラしました。

なお、ベータ形式にはもう一つの大きな欠陥があることを後に私は知ることになりました。

それはカビが生えたビデオテープに弱いということです。

劣化したものを再生すると必ずデッキ本体が故障するということを体験しました。

VHSの方がその点でも優れているように思います。

大体ビデオテープの種類を録画時間で選ぶ際に、VHSの方は型番が分数を表わしているので分かり易いのに比して、ベータは録画時間とは関係ない数字(テープの長さだったか?)で分かりづらくなっていました。

そのことからも使用者の利便性に配慮が足りないことは明らかでした。

やはり企業の姿勢に対して見る目のなかった私のミスか。

* * * このつづきが * * *
第36回「さらばベータよ」にあります。


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