6月23日(金) |
梯郁太郎氏の遺したもの 珍しくまともな表題にしました。 梯氏は電子楽器メーカーROLAND(ローランド)の創業者で、今年四月に亡くなられました。 同氏の追悼特集記事が載っているサウンド&レコーディング・マガジン7月号を買い、70ページの特集記事をあっという間に読み終えてしまいました。 前回同雑誌を購入したのは冨田勲氏が亡くなった去年のことでした。 電子音楽の分野で偉大な功績を遺した方が続けてこの世を去っていくこととなってしまったわけです。 私は電子楽器が一気にデジタル化していく時期にちょうど社会人一年生として短期間ですが現場に近い位置に居合わせたので、梯氏にも一度だけお会いしたことがありました。 また、その頃一緒に新しい楽器の販促活動をした人の名を同記事で見かけて当時のことを思い出しました。 その後田舎に移住し、中年のオヤジになってもMIDIを用いた打ち込みによる音楽制作を存分に楽しませてもらいました。 昨今楽器がまったく演奏できなくても、また楽典の知識が皆無でもテクノロジーを用いて音楽を作れるようになりました。 そのような状況に至るまでの源流の一つが同氏の独創的発想だったと言えるでしょう。 電子楽器で作ったものなど「音楽」ではない。 私は、そんな不寛容な考え方が主流であった時代の空気を知っている最後の世代に属しているのかもしれません。 私自身、まさに孤高の人であった冨田、梯両氏の存在があったからこそ一人での音楽制作を享受できたと今は実感しています。 あらためてお二方のご冥福をお祈り申し上げます。 |