5月3日(木) |
最先端とエバーグリーン ロックというジャンル名の前に、日本の、という言葉を付けることが不自然になったのは、いつ頃からだろうか。 私が高校生だった頃、日本の商業音楽界において既に市民権を得ていたフォークに比して、ロックはまだまだ少数派にしかすぎなかったように思う。 当時ロックの前に、日本の、や日本語の、という言葉を付ける際には思わず拳に力が入ったものだった。(苦笑) プロミュージシャンがロックをすることのハードルが相当高かった時代だと言える。 覚悟をしてロックしなければいけない、軽い気持ちで取り組んでははいけない、というような「空気」が漂っていた。 そんな時代に製作された「日本のロック」アルバムには名盤とされるものも多く、今もって私の愛聴盤となっているものも多々ある。 サディスティック・ミカ・バンドの「黒船」は、特に聴き込んだ作品の一つだ。 この作品には、上に記した力みが感じられないという特異点がある。 故人となった加藤和彦氏が裕福だったためなのだろうか。 同氏が流行の最先端を走ろうとしていたように私には写った。 日本国内での同バンドの評価が不当に低いことを嘆いた同氏は、悔しさからロンドン公演後に凱旋フリーコンサートを開催したことがあったと聞く。 が、この作品自体は現在の鑑賞にも耐え得るエバーグリーンな内容に仕上がっていると感じる。 ブームなるものが起きたために、我国では著しく軽くなってしまったと私は思っている「バンド」という形態。 和魂洋才は過去の遺物なのか、と意味深なタイトルのこのアルバムを聴きながらちょっと感傷的な気分になってしまった。 |