ソムリエという言葉が一般に知れ渡った現在の我国において、巷にはワイン通の方々が大勢いるようです。
かつては酒なら何でも飲んでいたものの、田舎で風土に根ざした生活を始めてからは焼酎お湯割り一辺倒の私は、ワインに対する興味も思い入れもありません。 むしろ昨今のワインブームには疑念をもっている人間です。 何故なら、世界各国から輸入されているワインのほとんど全てに酸化防止剤として化学物質が加えられているという、下手をするとワインの消費量を減らす要因にもなりかねない事実には触れないようにしよう、という暗黙の了解があるように思われるからです。 私とは異なり連れ合いはフランスパンが好きなこともあってワインを時々飲みたくなるようです。 そのため以前は通信販売で安心して飲むことができる国産のワインを割安な一升瓶詰めでまとめ買いして飲んでいました。 その後山ごもりに近い生活になってから私の酒量が増えたのに反比例するかのように連れ合いの酒量が激減したためワインから遠ざかっていました。 たまに普通の酒類量販店で置いている酸化防止剤無添加と表示されている販売価格が千円前後の赤ワインを飲むことはありましたが。 先月今まで入ったことのなかった隣町の生活協同組合系スーパーマーケットに何気なく立ち寄り、どんな商品を扱っているのか物色する機会がありました。 そこで酒類量販店では目にしたことがないサントネージュの「酸化防止剤無添加有機ワイン」を偶然みつけました。 瓶の後側のラベル表示によると
という理想的な方法で造られているようで、しかも売り値が680円という信じられない安さでした。 しかし私には、かつて同じサントネージュの酸化防止剤無添加(で有機ではない)ワインが酒類量販店で300円弱という驚異的な低価格で売られているのを見て衝動買いし、飲んだ際にあまりの不味さに二度と買うまいと決心したさもしい経験があったので、3種類のうちで一番甘くない赤ワインを選び試験的に1本だけ恐る恐る買って帰りました。 値段が値段ですから当然のこととしてもの凄く美味しいということはあり得ないことを承知した上で試飲してみたらそこそこ飲める味で、普段用ならこれで十分かと思えました。 もちろんこの結論は製法上のこだわりを加味して下したものでした。 ところがどっこい、この判断こそが私の無知に起因する誤り、ミスでした。 その店に頻繁に行くわけではないので経済効率からこのワインをまとめ買いするようになった頃だったでしょうか、たまたま本屋さんの新刊コーナーで「買ってはいけない2」を立ち読みしていました。 何となく拾い読みをしていたらこのワインが載っていたので驚くとともに食い入るように読み切りました。 製法に関する詳しい調査に基づいた記述から、このワインは決して優等生ではなくむしろ見かけ倒しの食わせ物であることが分かりました。 なんとブドウの栽培時に表示義務のない農薬を使用していることや、原料は濃縮還元したものであることなど詐欺にも近い実状が暴露されていました。(詳しくは同誌を参照してください) ワインの製造法関連の情報として、発酵を助けるために糖を加えたり酸味を増すために酸を添加することも多いが法的にはそれらの表示義務がないことなども知り、ここはまがい物公認国家日本であったことを思い出しました。 さらにワイン造りに適したブドウの産地に住んでいるわけではない私がワインを常飲する分際ではないことも思い知りました。 |
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