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漬物の塩梅

No.10(2002.07.16)


我家では毎年晩秋から初冬の頃に白菜を塩漬けにします。

夏場のぬか漬けとともに私の大好物ですし、安心で美味しい市販のものを買うとべらぼうに高くつくことも自家製を作り始めたきっかけでした。

と言っても実際に漬けるのは連れ合いで、田舎暮らしを始めてから初めて漬けるようになったのです。

漬け方の載っている本を読んだり近所の農家のお婆さんたちに教えてもらったりして挑戦した第1回目の時から美味しく漬かっていました。

これは美味い、ということで我家の年中行事の一つになったのです。

昨年に私は初めて少し手伝いました。

下漬けから本漬けにする時が一番大変だと連れ合いが言うので、その際の手助けをしたのです。

白菜の塩漬けは下漬けして水が上がった樽から白菜を取り出して水を切り、新たに塩と風味付けの材料を足して樽に漬け直します。

私は手足が長いので主に樽から白菜を取り出す役でした。

例年は本漬けの際に風味付けのために昆布、赤唐辛子、ゆずの皮を干したものを入れていますが、昨年はそれに加えて柿の皮を干したものもあらかじめ準備しておきました。

今まではこれらの材料と塩とを別々に足していましたが、今回は連れ合いの発案で事前に本漬け用の塩とこれらの材料を混ぜておくこととしました。

白菜の水分が十分に切れた後に、連れ合いの指示に従って私が大きさ別に白菜を渡していくという段取りで本漬けしました。

ちょっとした工夫や手順が良かったのか、一人で漬け直すときの半分以下の時間と労力で簡単にできたと連れ合いが言ってくれたのは私の望外の喜びでした。

これなら楽だと言うので来年からは毎回私も手伝うことにしました。

少し酸味がでたころの味が好きな私は漬かるのを楽しみに待っていました。

するとある日漬かり具合を確かめるために試食した連れ合いが、塩っ辛すぎるのでそのままじゃ食べれないだろう、と言うのです。

白菜20キロ分を漬けていたので、これを聞いた時には心底がっかりしました。

仕方がないので今年は漬けた全量をその都度水に浸けて塩抜きをしてから食べる羽目になってしまいました。

でも、何故?

今回は私も手伝っていたので本漬けした時のことを詳細に思い出してみました。

原因は、本漬けの際に白菜と白菜の間にふったり白菜の葉の間に入れ込む塩と風味付け材料を混ぜておいたものを、最後の方で足りなくなったために少し足していたからでした。

下漬けに使う塩の量は決まっているのですが、本漬けの場合はどのくらい日数をおいてから食べるかで使う塩の量が違ってくるのです。

長く漬けておく場合は酸敗させないために塩の量は多くなります。

後に分かったのは、私が少し酸っぱい漬物を好きだと知っている連れ合いが、最初から漬け方の載っている本に書いてある上限に合わせて塩を計量していたことでした。

そこへほんの少しの塩を何気なく足してしまったので塩の量が限度を超えてしまったのでしょう。

塩梅とは本当に難しいものです。

今回はちょっと残念な結果になってしまったものの、次の機会には私も手伝って美味い白菜漬けを作ろう、という楽しみができました。


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